スター・ウォーズのEP2~3の間を描いた物語といえば、CGアニメ『クローン・ウォーズ』が有名ですが、実はもう一つ、いわゆる「正史」作品ではないものの隠れた(?)人気を誇るアニメ作品があるのはご存知でしょうか。
それが本作『スター・ウォーズ クローン大戦』です。
制作されたのは2003年~2005年の間で、『クローン・ウォーズ』とは異なり2Dのアニメとなっております。
全体的に線が角ばっている、非常に独特なキャラデザインが大きな特徴です。
私は『クローン・ウォーズ』シリーズを先に全話視聴してから本作を視聴してみたのですが、成る程確かに『クローン・ウォーズ』とはかなり違う作風にギャップが大きく、戸惑ったというのが率直な感想です。笑
ただ、本作には映画本編でも、『クローン・ウォーズ』でも描かれなかったいくつかのエピソードが要所要所で散りばめられており、ファンにとっては必見の作品と言えるのではないでしょうか。
というわけで、『クローン大戦』のおおまかなあらすじと感想を述べていきたいと思います。
『クローン大戦』あらすじ
ボリューム1 あらすじ
アニメ『クローン大戦』は、ボリューム1とボリューム2の前後編に分かれます。
ボリューム1の物語の時系列としては、EP2・クローンの攻撃から間もなくといったところでしょうか。
銀河各地で戦争が勃発し、最高議長パルパティーンはヨーダらを説き伏せ、まだパダワンであるアナキンをなんと戦闘部隊の指揮官に任命してしまいます。
当然、アナキンの師・オビ=ワンはこの決定にもちろん大きく戸惑い、アナキンに忠告を送るのですが当のアナキンはそんなオビ=ワンに不満を抱いていて…
というのが、冒頭のエピソードです。
CGアニメの『クローン・ウォーズ』の時点では既にアナキンはジェダイナイトに昇格しており、性格的にも以前までと比べると少々の落ち着きが見られましたが、本作ではまだまだ血気盛んなパダワン時代のアナキンが見られる、というのがなかなか貴重ですね。
また、このボリューム1から、ドゥークー伯爵やグリーヴァス将軍などおなじみのキャラクター達、そして『クローン・ウォーズ』でも活躍するアサージ・ヴェントレスが登場します。
彼女のファンである私としては、ヴェントレスがどういった経緯でドゥークー伯爵と出会い彼の教えを受けることになったのか…といったエピソードが明らかになったのはとても嬉しい発見でしたね。
終盤のアナキンVSヴェントレスの一騎打ちのシーンは、2Dアニメでありながらも手に汗握る迫力の戦闘シーンだったと思います。
ボリューム2 あらすじ
そして、ボリューム2では、戦闘が激しさを増す中、戦力増強を考えた評議会の判断により、アナキンがいよいよジェダイナイトへと昇格します。
オビ=ワンとともに様々な惑星へ赴き、戦績を積んでいくアナキン。
そんな中、グリーヴァスらによってパルパティーンが誘拐され…
というわけで、ここからEP3・シスの復讐の冒頭に繋がっていくことになります。
ボリューム3では、アナキンの昇進と、惑星ネルヴァンでのエピソード、そしてパルパティーン誘拐事件がストーリーのメインとなっております。
特に印象的だったのは、惑星ネルヴァンでのエピソードでした。
なんとアナキン、生きた虫をおいしそうにムシャムシャ食べるんです。
いや、ちゃんと焼くなり調理しているのならまだしも生きているミミズ…。
あまりのことに開いた口が塞がりませんでした。笑
一応真面目な感想も書いておくと、このエピソード、(クローン・ウォーズも含めた)スター・ウォーズのあらゆるエピソードの中でも屈指の鬱エピソード、そしてなんともやりきれない気持ちにさせられる結末だったと思います。
ネルヴァンの戦士たちの扱いとあの結末はもちろんですが、彼らの救出へと向かう中、謎の(?)ビジョンを見てしまい感情をコントロールできなくなってしまったアナキンを見ているのも辛かったですね…。(生きた虫をムシャムシャ食べていたというのも完全に頭から吹っ飛んでいました)
この戦争の惨さ、痛ましさを感じさせられる重いエピソードだったと思います。
映画本編では描かれなかったエピソードの補完
本作では、EP3への繋ぎの物語として、アナキンのジェダイナイト昇格~パルパティーン最高議長の誘拐事件に至る前のエピソードが主に描かれていますが、それだけでなく、
・アナキンがパドメに渡した「ジャポーのお守り」がどうなったか
・C-3POの衣替え
・アナキンの義手の色が変わった理由
・グリーヴァス将軍がなぜ咳き込むようになったのか
…などなど、映画本編では語られなかったエピソードや伏線が数多く散りばめられており、スター・ウォーズファン、特に新三部作ファンにとっては非常に満足のいく作品となっております。
特に、アナキンの周辺に関してはより深い掘り下げがなされており、アナキンファンの方にとっては必見の作品なのではないでしょうか。
まだパダワンでありながら重要な役目を任されるなどパルパティーンから寵愛を受ける描写と、それに対比するかのようにオビ=ワンとの関係性がぎすぎすしたものになっていく描写はEP3の展開を思うとなかなか辛いものがありましたが、アナキンの感情の揺らぎが細かく描かれていてなかなか興味深かったです。
特に、ヴェントレスに激しく攻撃を仕掛ける際のアナキンが既にダークサイドに足を踏み入れれてしまっていて怖かったですね…。
ヴェントレスの姿に、クワイ=ガンや(自分をなかなか認めてくれない)ヨーダやオビ=ワンの姿を重ねながらひたすら攻撃を加えるアナキンの姿には色々と感じるものがありました。
一転して、ナイトに昇格後、喜び勇んでパドメのもとへ駆けつけ、短い間ながらも二人で過ごす描写は本当に幸せそうで良かったですね。
グリーヴァスの咳き込む原因も、この作品で解明されましたね。
映画本編を見ているときから、何故咳をしているんだろう?と不思議に思っていたので、こういう理由があったのか…と納得です。
映画でもクローン・ウォーズでもグリーヴァスの強さは圧倒的に描かれていましたが、この作品の彼は本当に向かうところ敵なしといっていいぐらい強敵のキャラクターとして描かれていましたね。
ドゥークー伯爵に稽古をつけてもらうシーンも印象的でした。(ドゥークー伯爵はグリーヴァス、ヴェントレス、サヴァージと数多くの弟子を持っており、カリスマ性があるだけでなく実はとても面倒見が良い人ですよね。個人的にスター・ウォーズの中でも好きなキャラクターの一人です)
まとめ
個人的な意見を言わせていただくと、そのあまりにも独特なキャラデザインに最初は視聴するかどうか非常に悩み(苦笑)、
とりあえず見てみるもメイス・ウィンドゥらジェダイのパワーインフレ現象(空を飛んだりか〇は〇波もどきのエネルギー弾を打ってみたり…)には困惑させられたのですが、
上記のように貴重なエピソードを沢山見ることができて、総合的に見てみれば満足のいく作品でした。
スター・ウォーズシリーズの番外編的作品はカノン(正史)とレジェンズ(正史でない)の二つに分かれており、『クローン大戦』は後者のレジェンズに該当するのですが、正史でないからといってスルーしてしまうには勿体ない作品だと思います。
キャラデザに関しては、まぁ慣れだと思うので笑
まだ見たことのない方は、物は試しに一度視聴してみるのも良いのではないでしょうか。
(※)EP3に至るまでのアナキンの心情について考察記事を書かせていただいております。
(※)現在、ボリューム1・2ともに希少価値がついており、特にボリューム2はなかなか手に入りにくい状況となっております。
出品されている方もいらっしゃいますので、興味のある方はご自身でも探してみて下さい。
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