『のび太の恐竜』『のび太の恐竜2006』ファンなら確実に泣ける作品 映画ドラえもん『のび太の新恐竜』 感想(※ネタバレあり)

映画レビュー
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新型コロナウイルスの感染拡大にともない、毎年春に上映されていたドラえもん映画は8月7日に公開延期となりました。
というわけで、8月某日、コロナ対策と熱中症対策の両方に気を配りながらも映画館へと足を運んだ次第です。
(この暑さですし、コロナも確かに怖いですが熱中症の危険もかなりありますよね…)

というわけで、待ちに待った映画ドラえもん『のび太の新恐竜』の感想記事を書かせていただきたいと思います。
未見の方はくれぐれもネタバレにご注意下さい。


ちなみに私は、二回観に行って二回とも号泣してしまいました……。笑

『ドラえもん のび太の新恐竜』 あらすじ

国民的アニメ「ドラえもん」の長編映画40作目。
シリーズ最高の興行収入53.7億円を打ち立てた「映画ドラえもん のび太の宝島」(2018)の監督・今井一暁×脚本・川村元気が再びタッグを組み、のび太と双子の恐竜の出会いから始まる物語を、長編映画シリーズ第1作「映画ドラえもん のび太の恐竜」(1980)とは異なるオリジナルストーリーで描く。

ある時、恐竜博の化石発掘体験で化石を見つけたのび太は、それを恐竜のたまごだと信じ、ドラえもんのひみつ道具「タイムふろしき」で化石を元の状態に戻す。
するとそこから、新種の双子の恐竜が生まれる。
2匹をキューとミューと名づけて育てるのび太だったが、やがて限界がきてしまい、2匹を元の時代に返すことに。
ドラえもんや仲間たちとともに6600万年前の世界へと旅立ったのび太は、キューとミューの仲間を探す中で謎の島にたどり着き……。

映画.com(https://eiga.com/movie/91484/)より引用

あらすじで引用させていただきましたように、この映画の予告を見た人は誰もが映画ドラえもん第一作の『のび太の恐竜』を思い浮かべたことでしょう。
しかし、『のび太の恐竜』のリメイクはというと2006年に既に制作されています。

映画ドラえもん『のび太の恐竜2006』より

では、今作はリメイクではないとすれば一体どういった位置づけの作品になるのか。

『のび太の恐竜』とは全く関連性のない新作として制作されるのか。
それとも、多少なりとも繋がりのある作品なのか。

予告を見た方の多くは気にされていたことかと思います。
(ちなみに、『のび太の宝島』も最初は『南海大冒険』のリメイクかと思っていましたが、蓋を開けてみれば全く違った作品でしたね)

そして映画を観てきて、そういった疑問に一言で答えるとすれば『のび太の恐竜』をベースに現代の観点から新たな解釈を導き出し、リメイクではなく全く新しいものとして生まれ変わった作品であると言えるでしょう。

ここからは『のび太の恐竜』と比較検討しつつ、作品の核となる部分についての細かい感想を書いていきたいと思います。
繰り返しになりますが、ネタバレにはご注意下さい。





















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双子の恐竜、ミューとキューの存在

まず『のび太の恐竜』との大きな違いで挙げられるのは、のび太が育てることになった恐竜が単体でなくミューとキューという双子の恐竜だということです。

それも、ミューの方は元気いっぱいでなんでも器用にこなせる、いわゆる「できる子」であり、キューの方は不器用でのび太そっくりの「できない子」。
こうした差別化をすることによって、兄弟を育てることの難しさ(上の子とどうしても比べてしまう)というものを描いていたというのが本作の特徴だと思います。

個人的に特に印象的だったのは、なんでもよく食べるミューに対してあまり食べたがらないキューがやっとのことでお刺身を食べたかと思えば、お腹を壊して嘔吐してしまった…というエピソードでした。
お刺身をやっと食べてはい終わり、ではないところがこの作品が細かく作られているところだな、と思いました。

「キューと一緒に成長するのび太」という描かれ方

二つ目に挙げられる点としては、双子恐竜の子育てに奮闘する「親としてののび太」にスポットを当てるだけでなく、不器用なキューとのび太を対比させることによってのび太自身の持つ課題と一人の人間としての成長を描いていたということでしょう。

本作の中で、ミューとキューは羽を生やしている「羽毛恐竜」とされています。
ところが、物心ついてすぐに飛べるようになったミューと違い、キューは一向に飛べるようになりません。
そんなキューと、学校の勉強も運動も苦手で逆上がりもできないのび太。
どこかキューに自分と似たものを感じるのび太は、キューに飛ぶようになる練習をさせながらも、自分自身の課題と少しずつ向き合っていくようになるのです。
こういった「のび太自身の成長」「キューと一緒に成長するのび太の姿」というものは、『恐竜』では描かれなかった部分であり、今作になって新しく掘り下げた部分と言えるでしょう。

恐竜の『絶滅』に切り込み新たな解釈を提示してみせた作品

『のび太の恐竜』は1億年前の白亜紀を舞台に冒険を繰り広げる物語でしたが、今作の舞台となるのは6600万年前の白亜紀後期。それも、ちょうど地球に隕石が落ちてきて恐竜が絶滅に至る直前という時代です。
そのため、本作の終盤は恐竜の絶滅という点にスポットを当てて物語が展開されていくのですが、率直な感想を申し上げますとこう来るのか…という驚きと感動に満ち溢れた展開でしたね。

恐竜の絶滅という事実は歴史として定まっており、歴史改変をすることは許されることではありません。
もしも恐竜が絶滅しなかったら、哺乳類が栄えることはなかったかもしれない。
そして、そうなると、我々人類が誕生しなかったことになってしまうかもしれないからです。

しかし、のび太はミューとキューを守りたい一心でタイムパトロールと対峙します。
そんなのび太を見て、(木村拓哉さん演じる)未来人の恐竜学者であるジル博士は、のび太とキューにとある可能性を見出して彼らの動向を見守ることになったのでした。

結果として、ミューとキューは恐竜から始祖鳥へ進化する前段階の羽毛恐竜であったこと、のび太たちがミューとキューを守ったことが鳥類の進化の歴史の先駆けになったということが判明するのですが、この結末に至るまでの臨場感溢れる展開は歴代のドラえもん映画の中から考えてみても過去最高と言えるのではないでしょうか。

ドラえもん映画を通して、生物の進化の歴史の瞬間を見届けることができた…そんなカタルシスがあったように思いますね。

また、キューがプテラノドンにさらわれたのび太を助けようと必死に飛ぼうとする姿は、ベタな演出でありながらも胸を打たれました。
キューの、他の仲間たちと違う不格好な飛び方は鳥類の証である羽ばたきの前兆だったんですね。
このことが分かったときは本当に鳥肌が立ちました。

ミュー・キューと別れて現代に戻ってきたのび太は苦手な逆上がりの練習に励み、ついに逆上がりを成功させました。
そんなのび太の頭上を飛んでいく二羽の小鳥…
もしかしてもしかすると、あの小鳥たちはミューとキューの子孫だったのかもしれない…
ワンシーンとしてだけ見ると少々地味めな終わり方ではありましたが、そんな想像を搔き立てられるような、静かな余韻を残す良い締めくくり方だったと思います。

ミスチルの主題歌『Birthday』も素晴らしかったですね。
主題歌のバックに流れる映像がこれまた生物の進化の歴史を表現していて、最後にのび太がドラえもんと出会う…という演出も良かったです。
こうして振り返ってみると、本作『のび太の新恐竜』がのび太の誕生日である8月7日に公開されたのには、(新型コロナウイルスの流行による公開延期ということに関しては、いち映画ファンとして歯がゆい気持ちであることに変わりはありませんが)何かしらの運命的なものを感じてしまいますね…。

『のび太の恐竜』を知っているファンへの、心憎いサービス

そしてなんといっても欠かせないのは、『のび太の恐竜』『のび太の恐竜2006』でキーパーソンとなった首長竜・ピーすけの存在です。

映画ドラえもん『のび太の恐竜2006』より

元来、ドラえもん映画は映画間の繋がりはない、いわゆるパラレルワールド扱いとされていたかと思います。
よって、今作『のび太の新恐竜』でも、のび太は初めて恐竜の子育てを体験するかのような反応をしています。

しかし、分かる人には分かる心憎い演出が序盤から散りばめられているのが、本作の製作陣からの長年のファンへのメッセージだと感じられますね。
恐竜展を見学中にのび太の脳裏によぎった、海の中にいるかのような映像。
恐竜展に来ているのび太達の服装が『のび太の恐竜2006』のものと全く同じだったこと。
そして何より、物語中盤の「あのシーン」に関しては、もうこれ映画館に来ていた20代以上の観客を泣かしに来ているでしょうとしか言えません。(涙)

パラレルワールドでありながらも、随所に『のび太の恐竜』『のび太の恐竜2006』へのファンサービスを散りばめた本作は、ドラえもん50周年を飾るにふさわしい傑作であったと言えるでしょう。

映画ドラえもん『のび太の新恐竜』 感想まとめ

『のび太の恐竜』の展開へのオマージュ(ファンサービス)も散りばめながらも、恐竜の絶滅期という時代にスポットを当て、さらに恐竜から鳥類への進化の可能性、生物の進化の歴史という新たな解釈に踏み込んだ、まさしく(ポケモンのハートゴールド・ソウルシルバーに出てくるとあるセリフを借りて言えば)「懐かしくて新しい」作品だったと言えるでしょう。
映画館に来ていたお子様はのび太達の冒険にワクワクドキドキして、そんな子供達の付き添いで来た保護者にとっては旧作へのファンサービスに胸を打たれる。
そんな大人も子供も楽しめる理想的な映画だったと思います。

キャラクターの動かし方やストーリー運びはもちろんのこと、迫力溢れる恐竜のCGや背景美術も素晴らしかったです。
特に、物語序盤でのび太たちは誤ってジュラ紀へ行ってしまうのですが、ジュラ紀と白亜紀での植物の描き分けがしっかりとされているところも良いな、と思いました。
(植物の違いはジュラ紀から白亜紀にかけての恐竜の変遷において非常に大事な部分ですからね)

もともと、ドラえもん映画は(個人的な感想としては)ここ数年どんどんクオリティーが上がっていっていて、毎年「これが歴代最高傑作なんじゃないの」と思わされるほど良い作品をどんどん送り出していっているのですが、本作『のび太の新恐竜』もまた歴代最高傑作と言ってよいのではと思わされるほどの素晴らしい作品でしたね。

来年のドラえもん映画は、最後の告知の漢字からすると『のび太の小宇宙戦争』のリメイクでしょうか。
(だとすると、スター・ウォーズ好きとしても見逃せない作品となりそうですね)
来年もまた期待して公開を待ちたいと思います。


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