(※この記事は過去ブログからそのまま転載しております)
フリーゲーム紹介・感想記事の第一回目となる今回取り上げたいのはこちらのゲームです。
「四人の王国」というフリーゲームのご紹介をしたいと思います(ダウンロード先はこちら→四人の王国)
ジャンルは、RPGとノベルゲームを足したような感じですね。特にノベルゲームの部分、キャラクターとの会話によってどんどんストーリーが進んでいくのが本作の特徴だと思います。
イベントパートでの会話の他、↑のようにエリアマップ上で「…」アイコンが出てきたときにShiftキーを押してみるとパーティーメンバーとの会話が見られます。
(ちなみに、情報収集のパートで、キャラクターによってはメインキャラ・モブキャラ限らず何回か話しかけるとさっきとは違う内容の話が聞けるときもあるので、どんどん話しかけていってみましょう)
プレイ時間はだいたい7〜8時間ぐらいと、短すぎず長すぎずといったボリュームですね。
メンヘラで夢見がちな女の子、
ウソがつけない男の子、
無口で存在感ない男、
の4人で旅をするアドベンチャーゲーム。
「王の試練」で勝つために、
3人の側近といっしょに
各地に隠された「紋章」を集めに旅立ちます。
選択肢や行動で、
あなた(主人公)の「性格」が変わり、
選べる選択肢が変化します。
要は、複数いる候補者たちと競い合い、「王の試練」に勝ち抜くというのが大きな目標なのですが、
このゲームの大きな特徴として、主人公が声が出せないというものが挙げられます。原因は、「王子候補者」としてのプレッシャー等精神的ストレスによるものだそうです。
↑のように選択肢を選んで進めていくことになります。そして、選んだ選択肢によって主人公の性格や嗜好がどんどん決まっていく。まさに主人公=プレイヤーというわけですね。
ちなみに、好きな食べ物や趣味などは、一度選択肢を選んでおくと、仲間のキャラはずっと覚えていてたまに話題に出してくれる(そういえば◯◯が好きって言ってたよね?等)のが非常に細かく作られているなと思いました。
そして、そんな主人公と「王の試練」を受けるために旅に出ることになる愉快な(?)仲間たち。
ヒロインの一人、クーフィア(愛称クー)。
一見するとひたむきで可愛らしいごく普通の女の子なんですが、ストーリー中盤頃から、とんでもない闇を抱えていることが段々と分かってきます。
ただただ可愛いだけのヒロインではない、賛否分かれるキャラ造形だと思います。
ちなみに私は大好きです笑
見た目はいかつい大男だけれども、実は心優しくて料理が得意というジャン。
過去に何かあったらしく、自身のことはあまり話したがらないのですが、周囲をよく見ていて、主人公や仲間たちのことを常に気遣ってくれています。
パーティーメンバーの中では頭脳派でしっかり者のカシュー(ちなみにれっきとした男の子。最初見たときは女の子と思ってました←)。
とある事情により、正直者を通り越して嘘がつけないという弱点を抱えています。
そして、
もう一人のヒロイン、リカ。
実はライバルの王子候補の側近であり、主人公とは本来敵同士なのですが、ひょんなことから主人公の素性を知らない状態で出会い、親しくなっていきます。
快活で自分の考えをはっきり言う性格故に、内向的なクーフィアとは馬が合わない模様。
失声症というハンデを抱えている主人公も含めて、パーティーキャラ四人には深い事情があり、それぞれが重い過去を抱えているという共通点があります。
そして、基本的に、皆さん要領が良くない、生き方があまり上手ではない人達です。
そんな平凡な…というよりも「イケテナイ」四人組が、ゲームをプレイしているうちに本当に大好きになっていって、旅を通して彼らがどのような道を歩んでいくのか見届けたいなと心から思えた作品でした。
また、パーティーメンバー以外のキャラ(他の王子候補=ライバル達)に関しても、
序盤ではイヤな奴だな〜と思っていたのが、段々と良い面が見えてきたり、
逆に好印象を持っていたキャラの嫌な面が見えてきたり、人間にはいろんな面がある、というのはとてもリアルだなと。
脇役に至るまで本当にしっかり作り込まれている作品だなと思いました。
特に、物語終盤のとあるシーン、今までのあらゆる所業からプレイヤーからのヘイトをさんざん集めまくっていたであろう某キャラクターが、誰にもずっと言えなかった本心を主人公にぶつける場面には色々と考えさせられましたね。
個人的にはそこまで嫌いかというと、そもそもなぜ主人公にそこまで粘着するのか?という疑問の方が大きかったので、面と向かって言葉を発してくれてあぁ成る程…という気持ちの方が大きかったですね。
そして、作者様公式サイトでの好きなキャラor嫌いなキャラ投票で、好きなキャラと嫌いなキャラの両方に彼奴を入れた自分は結構歪んでいるな〜と思いました。苦笑
閑話休題。
そんな大好きな本作ですが、少しだけ気になった点を言えば、
牧歌的な雰囲気のキャラデザインや世界観に似合わず、終盤の展開はかなりハードです。
理不尽極まりない展開や、胸が痛くなるような描写や残酷な描写が結構続くので、昨今の色々と厳しい風潮を考えるとゲーム開始前に少々の注意書きがあった方がいいかも?とも思いました。
また、クーフィアに比べてもう一人のヒロイン、リカとのエンディングはかなりあっさりしていてエンドロールも歌なし…と、メインヒロインの一人としては作り込みがかなり浅いように感じてしまいました。
もっと彼女とのエンディングを濃い内容にするか、あるいはいっそダブルヒロインではなく主人公に片想いしている(けど結ばれることはない)サブヒロイン的なポジションにするか、どちらかに絞った方が良かったと思います。
結果としてどっちつかずというか、作中の立ち位置としてはやや中途半端になってしまっているように感じましたね汗
…とはいえ、多少の気になる点はあったものの、個性豊かなキャラクターといい会話のテンポの良さといい、全体を通してのクオリティーは非常に高く、本当にやってよかったと心から思えた作品でした。
終盤になってくると、「貴方は本当にその生き方で良いのか?」と主人公にというよりもプレイヤー自身に問いかけられる展開が多く、これまで以上に選択肢は真剣に考えて選んでいました。
この作品、一見するとありがちなファンタジー世界なんですが、実はものすごく現実世界とリンクしている作品なんですよね。
予め用意された道を歩んで、安定した生き方を選ぶのか、それとも自分で決めた道を行くという別の生き方を選ぶのか。
…道は一つだけというわけではない(ゲーム的に言えば、エンディングは複数あります)のでどちらが正解、というわけではありません。
選択肢で主人公の性格が構築されていくというシステムといい、本当に主人公=プレイヤーということを感じされられるゲームだなと思いました。
あくまで「キャラクターとの会話」に重点を置いてあり、戦闘やダンジョン攻略などは本当にオマケ程度のものなので、RPGは苦手だけどファンタジーは好きだしゲームもやってみたい…という方、特に今まさに将来について不安を抱えている方には是非ぜひオススメしたいゲームです。
現実は辛いことだらけだけど、社会は全然甘くないけど、きっと今のままの自分でも、何かしら拠り所があれば生きていける、そんな気持ちになれる作品だと思います。
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